常にわたしらを助け光なしには一つの花さえ開かないように暗闇なしには何ものも生まれないことを知っている希望にみちた精神の庭園師たらしめたまえ-メイ・サートン『一粒の芥子種』よりメイ・サートンは、ベルギー出身のアメリカの小説家であり詩人です。第二次世界大戦前後より著述に専念するものの、1960年代後半に初めての小説のなかで、自らの同性愛を明らかにしたことで教職を追われ、さらに本の出版も中止されてしまいます。その後もパートナーとの別離、父との死別、自身の手術などが重なり、失意の底にありましたが、まったく未知の片田舎に引越し、世間の思惑を忘れ、自分の内なる感情を見つめることで、新たなる人生の一歩を踏みだすことが出来ました。新しい土地の自然と動物たち、大切な友人と読書によって与えられた万感は、サートンの無垢な感性と思索を通して嫋やかな、そして強かな文字となり記録されています。みすゞ書房から出版されている『独り居の日記』が好きです。自分の内なる怒りには正直に、でも身のまわりには秩序と平和を築こうと、サートンからのメッセージ。今日もいちりんあなたにどうぞ。プロテア 花言葉「風格」

今年は、遅もなく急もなくゆったりと秋が深まっている印象です。小春な秋晴れは連日続いてるし、ふといま時分って、毎年こんなに穏やかだったかしらと思ったくらい。して毎年この時期とは、時間ばかりが過ぎていく、なんとも名残の浅い季感だなあとも感じています。しかし見やれば、小さな草はちゃんと終わりまで咲ききる様子だし、咲ときゃ咲くし散るときゃ散る。そんな執着もない倦まず弛まずな花の気概をみたら、うかうかしてられないと、気が引き締まる思いがした今日です。今日もいちりんあなたにどうぞ。ヒペリカム 花言葉「悲しみは永遠に続かない」

不来方のお城の草に寝転びて空に吸はれし十五の心-石川啄木「木は天にまで届かないように配慮されている」というドイツのことわざがあります。いくら高い木でも決して天には届かぬよう、神様が配慮しているといい、どんなことにも、自ずからの限度があるものだという意味があるそうです。毎日見上げる青空には、無限の奥行きが感じられます。この空のかなたに、あなたがいるのだなあ。しかし手を伸ばしても届かないのは、これも神様の仕業でしょうか。今日もいちりんあなたにどうぞ。イチョウ 花言葉「荘厳」

鉛筆で大きな丸を一つ画いて、終わりにしようと思っている。画用紙一枚に、画き切れない重さがあったのは暑い夏。そして大きく乱れた時間の破線。その線上に心ねを置くと、寂しさを載せた先に、冬の薔薇が咲いている。                  木村孝夫 詩集『冬の薔薇』より***今日、ふと見上げて冬薔薇。冬にかぎっては、そうび、と呼びたい季節の野薔薇。眺めては、あんな風になりたいあんな風に佇みたい見つけるたびに知らせたかった景色です。今日もいちりんあなたにどうぞ。冬バラ 花言葉「輝かしく」

小鳥が食べる木の実には、60種ほどあるそうで、うち赤い実が28種、黒い実が16種、黄褐色22種、紫は24種になるそうです。赤い実が約半分を占めてますね。秋にみる、辺りのものが枯れてきた頃の、残照に映える赤い様は、あまりに詩的であるし、まさしく秋の風物詩。そんな赤い実とは何があったかしら。カラスウリ、うめもどき、珊瑚樹、がまずみ、いばらの実。千両、万両、ナナカマド、マユミ、クコの実、ピラカンサ。ほかに何かあったかしら。今日もいちりんあなたにどうぞ。赤い鳥 小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実をたべた『赤い鳥小鳥』北原白秋ピラカンサ 花言葉「燃ゆる想い」

なんなのこの青。と憎らしくなるくらい、天心が手に届くんじゃないかと思うくらいのスカイブルー。今日も朝から明るくて、澄んだきれいな空でした。して晩秋、空が美しいこの季節、東京にいると、ああなんで、こんな狭い空なんだ、ああなんで、いま東京なんだ、ああなんで。とあっちの空が恨めしく、あっちの広さが羨ましく、文句ばっかり言っています。ああなんで、きのうの言葉、どこへ。今日もいちりんあなたにどうぞ。その深さ いづれ鏡と 秋天と-山口誓子ブルースター 花言葉「信じあう心」

春は雪どけ 秋はどろんこ冬は寒くて 夏は焼けつく仕事をやらない理由はどうにでもつく。仕事ぎらいな人ほど何かと文句も多い、という意味をもつ言葉です。近年の気候の変化に付き合っていると、いったい何時がいい季節なの?と聞きたくなります。けれどそういっそ、雪どけも泥んこも楽しんだらいいのよね。愚痴をもらすより、嫌いでいるより、好きになれることを見つけたいもの。泥んこも雪どけも、暑い日も寒い日も。好きになりたい楽しみたい。今日もいちりんあなたにどうぞ。イチョウ 花言葉「長寿」