去年(こぞ)今年 貫く棒の 如きもの 高浜虚子古い年が去り新しい年が始まると、去った年が遠い昔のように感じられることがあるけれど、実際は、時間は何にも関係なく静かに過ぎていくだけ。まさに一本の棒で貫かれたように、ひとつづきの時間なのです。今日は小寒。この寒さも古い年からの分け前みたいなもの。つららのような如きもの。今日もいちりんあなたにどうぞ。ツバキ 花言葉「誇り」

元旦または三が日に降る雨や雪を「御降(おさがり)」と呼びます。これは涙を連想させる雨や雪は、おめでたいお正月には向かないため、このように呼ぶようになったとも言われますし、新しい年の豊作を約束する縁起の良いものとして、喜ばれてもいるようです。さても東京は、そんな言葉もよそにして、叩けば音が鳴るほどの、くっきり澄んだ空でした。ふと、なぜに一年のはじまりは、こんな冬に置かれたのだろう、そんなことを凡に思いました。気づけばもう四日、明日には通常、ぼんやりも今夜でおしまいです。頑張らなきゃね。今日もいちりんあなたにどうぞ。おさがりの雫莟むや梅若し-抱一ウメ 花言葉「忠実」

本は好きなのですが、ひどく遅読なうえ長編小説が苦手。それを克服したいと思っていたところ、友人が主催する文学サークルを知り、そこに参加しましたら、徐々に癖がついてきまして、おかげで中編?くらいなら読めるようになりました。笑小説の魅力は、自分が喋りたい事を自分が話す以上に的確に言葉にしてくれる人物に出会えたとき、予想もしなかった自然な喜びが身体中に染み込むのを感じることができ、満たされること。小説に限らず文学に触れたくなる理由のひとつです。そして良い本の中には必ずと言っていいほど心に響く言葉が記されてあります。「人は人の心にしか突き動かされない」そのことを証明してくれたのも、私にとってはやはり文学だったのです。詩歌、小説、伝記、随筆、文学にもいろいろあります。あなたはどんな作品が好きですか。いつかお話し聞いてみたい。今日もいちりんあなたにどうぞ。ヒヤシンス ピンク 花言葉「淑やかな愛らしさ」

お正月休み、ようやく読書時間を確保しました。新年読書初めは宮本輝のか『錦繍』。宮本輝の作品は初めてなので、まだ作風を捉えてませんが、いまの歳だから理解できる感情が多くあったように思います。愛し合いながらも離婚した二人が、十年の歳月を経て再会。二人の往復書簡によって、それぞれが過去に抱いた心の傷をあぶり出していきます。作中に何度もリフレインされる印象的な言葉も幾つかありましたが、私はこの箇所をみて、中原中也の詩「汚れちまった悲しみに」を思い出しました。重ね合わせたのは、過剰な自意識による生への倦怠と内省。それらは自分の中にも潜むものであるという気づき。今日もいちりんあなたにどうぞ。「死によってその生命のすべてが消えて失くなるという考えは、もしかしたら人間の傲慢な理性によって作りあげられた大いなる錯覚ではないのか。」—『錦繍(新潮文庫)』宮本 輝著https://a.co/i53fQPEウキツリボク 花言葉「さまざまな愛」#一日一節 #文学を語ろう#宮本輝 #錦繍 #中原中也#汚れちまった悲しみに#ウキツリボク #花言葉

明けましておめでとうございます新たな一年が皆さまにとって希望に溢れた豊かな一年になりますよう心よりお祈りいたします新しき年のはじめにおもふこと ひとつ心につとめて行かな-斎藤茂吉新年に思うことを心にとめて努めていこうこの二年を振り返り、時間の有限を感じた今年は、より自分の欲求に素直に感情ゆたかに生きていきたいと思います。そうして日常の中から得た気づきや、考えたこと問い直したことを、記していきたいとも思います。また花にまつわるおすすめ本や音楽、映画などのご紹介もしていきたい。やりたいことがいっぱい。楽しんでまいりましょう本年もよろしくお願いいたします。

年末雑感。「自分」という名のパズルはいつまでたっても何かが足りなく、いつもどこか欠けていて、いつまでも未完成なままだなぁと。でもそんな不十分に思い馳せるたびに、あの人がいてくれた、あの人のおかげでと、ふわりふわり有難さが込み上げてくるから、それも悪くないなぁと。そうして誰よりも、やっぱり今年もあなたへ感謝を届けたくなるから、そういうものなんだなぁと、思いました。今年もあといちにち。今日もいちりんあなたにどうぞ。ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは人間だし、花を愛するのも人間だもの。-太宰治スイセン 花言葉「神秘」

「一升マスの中の牡丹、なあに」古い謎なぞです。答えは「桐火桶の中の炭火」。くわっと開いた炭火をみて、満開の牡丹の花を思い出し、その美しさにたとえた言葉あそびです。炭火ひとつをとっても、はじめは小さな命を育てるように静かに火種を育てたり、ぱちぱち勢いある炭ならば、その機嫌を気にして寄り添う、日本人。火種が生き生きとした花にみえてきたり、のちに灯を消したあとの灰から見える、薄明かりの美しさを分かち合ったりする。それも日本人。こうして、することにもあるものにも、自然現象への敬虔な思いを馳せる日本人の感性は、素直に喜ぶべきものですし、心から尊く思います。日本人でよかったな。今日もいちりんあなたにどうぞ。ボタン 花言葉「恥じらい」

熊はもう眠りました栗鼠もうつらうつら土も樹木も大きな休息に入りましたふっと思い出したように声のない 子守唄それは粉雪 ぼたん雪師も走るなどと言って人間だけが息つくひまなく動きまわり忙しさとひきかえに大切なものをぽとぽとと 落としてゆきます『十二月のうた』茨木のり子—-この時季、自然は春への準備を進めるに勤しみ、まもなく休息に入ろうとしてますが、人間はあいも変わらずの忙しさ、それとひきかえに、大切なものをもぽとぽとと、そこらに落としているようです。そうね私なら、どうせ落とすなら、香りがたかい花咲く種がいい。今日もいちりんあなたにどうぞ。ロウバイ 花言葉「先見」

年の暮れの実感が色濃くなってきました。皆さまそれぞれに、残した仕事の整理、正月の準備に追われていることでしょう。さて今日は今年の361日め、大晦日まであと4日です。一年のよかったことも悪かったことも、こもごも去来するのも年の暮れ。ゆく年にこめる感慨は名残惜しさも混じえて、ちょっぴり感傷的にもなって複雑です。今日もいちりんあなたにどうぞ。うつくしや 年暮れきりし 夜の空小林一茶カラー 紫 花言葉「夢みる美しさ」