花の知性
多く才ある人は
世に生うる知恵の木の
命の木あらぬはかなさを嘆く
バイロン卿「マンフレッド」より
森鴎外訳
一般的に「知性」とは、物事を知ったり考えたり、判断したりする能力のこと、シンプルにいえば「見て」「考えて」「思って」理解を深めて、結論をみちびくまでの働きをいいます。
この「知性」ですが、つい人間特有のものかと思いきや、実は人にかぎらぬ生物に有し、それは植物にもあることを知りました。
よく「サボテンに声をかけると元気に育つ」なんていいますが、事実、ある植物においては、人の性格を見分ける力があるのだそうです。
たとえば(植物にとって)好きな人間が同じ部屋にいると、その植物は勢いよく水を吸収し生き生きとし、一方、凶暴な人間がいる部屋では、満足に給水できず、萎れてしまうのだとか。
このような現象は、葉を流れる電流の変化で確認ができ、古くから「植物の認知」としても知られ、植物研究のひとつにもなっています。
愛情かけて育てると、色や味がよくなるというのは、花や野菜が、自分たちの近くにいる人を知覚し、その人の人柄や愛情を認識し、判断しているから。つまり人間のことを「見て」「考えて」「思って」理解を深めて、結論をみちびいている、ということなんですね。
このように、私たちが選んだ気でいた植物に、実はこちらが「見られ」「考えさせ」「思われて」日々を過ごしているのだとしたら、
日々、植物相手にしごとをしている我々においては、花に見られている以上に花を観察し、考えさせている以上に思考し、思いやり、理解を深めて、かたちにしていくことは、必然のこと。
またこうした知性、隠れた心理が、人ばかりでなく花にもあることを知ると、あらためて、それぞれのインサイトに寄りそう事こそ、私のしごと。
そんなことを思いました。今日もいちりんあなたにどうぞ。
デュランタ 花言葉「あなたを見守る」