10月
神様は秋雲の向こうに

ますます夕暮れが早く訪れる10月。なんとなく物足りなさを覚えながらの家路は、遊び足りないままに友達と別れた幼少の頃のそれと重なります。そう、西日の向こうに伸びた影絵のように。
この暮れゆく夕焼けに、何ともいえない切ないきもち、郷愁を感じるのは、実は日本人だけなのだそうです。高くなった空のなかで、太陽の赤が雲交じりにオレンジへピンクへ紫へと変わる秋模様。一日でもながく、この空に包まれていたいと思うのも、日本人だけなのでしょうか。
さびしさはその色としもなかりけり。槇立つ山の秋の夕暮 寂蓮