10月
ダリア 花言葉「優雅」
この花の首筋をみて夢二を思いだした次第。それにしてもダリアは、なんて見返り美人な花だと思う。このうなじといい。
美人画で有名な日本画家、竹久夢二、明治生まれ、昭和9年没で、その生涯はわずか50年でした。ちょうど日本の古き良き時代、大正の15年間に活躍をした画家ですよね。その作品は数多いですが、特に有名な美人画のほかにも、児童雑誌の挿絵や、詩なども残しています。
彼に描かれた女性は「夢二式美人」と呼ばれ、その大正ロマン漂う独特の雰囲気は、夢二自身の道ならぬ恋模様が描かれたとも言われています。詩人としての作品には有名な「宵待草」がありますが、この詩は恋多き夢二の、実ることなく終わってしまった、ひと夏の恋が描かれており、のちに多 忠亮(おおの ただすけ)によって曲が付けられました。
この「宵待草」は、「待宵草」の表記が本来で、「月見草」の仲間です。どれも音感のきれいな名称ですが、夢二はあえて好んで「よいまちぐさ」とよんだとされています。
この甘く切ない抒情的な詩と、儚げで愁いを帯びた女の表情は、まさに叶わぬ恋を憂う、夢二の恋心そのものだったようです。美しいですね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
『宵待草』 竹久夢二
やるせない 釣り鐘草の 夕の歌が あれあれ風に吹かれて来る
待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草の心もとなき
想ふまいとは思へども 我としもなきため涙
今宵は月も出ぬさうな
ダリア 花言葉「優雅」