7月
歌を忘れたカナリアは
–
歌を忘れたカナリアは
後ろの山に棄てましょか
いえいえ それはかわいそう
歌を忘れたカナリアは
背戸の小薮に埋けましょか
いえいえ それはなりませぬ
歌を忘れたカナリアは
柳の鞭でぶちましょか
いえいえ それはかわいそう
歌を忘れたカナリアは
象牙の舟に銀のかい
月夜の海に浮かべれば
忘れた歌を思い出す
-かなりあ 作詞: 西条八十
.
作詞の西条八十は幼い日、
クリスマスに行った夜の教会で
.
会堂の中に灯された電灯のうち、
彼の真上の電灯一つだけ
ポツンと消えていることに気づきます。
.
それは楽しいさえずりの中に
一羽だけ鳴くのを忘れた
小鳥がいるかのよう
「歌を忘れたカナリア」のような
印象を受けたのだそうです。
.
歌を忘れたカナリアも
自分の居場所さえ見つければ
きっとまた美しい声で歌い出すのだ。
.
ひいては傷つきやすい子供の心もそうだろう。
そんな想いから作られたというこの詩は、
.
創作活動に行き詰まりを感じていた
当時の八十の心境を詩にしたとも言われています。
.
詩を捨てたほうがいいのか、それとも
無理にも詩を作ったほうがいいのか、
.
八十がそうであったように、
.
人はオトナになっても
自由と孤独を行き来しながら生きている。
.
今も昔も、
人はオトナになっても
.
自分が弱いのか強いのか
わからなくなる。
.
どっちをむいて
泣いたらいいんだろう
.
どこに向かって
叫べばいんだろう
.
心の在り方に悩んでいる。
.
そうまるで
歌を忘れたカナリアのように。
.
けれど歌を忘れたカナリアも
.
自分の居場所さえ見つければ
ふたたび美しい声で歌い出すの。
.
.
居場所とは
自由であり孤独でもあり、
.
それはきっと、光です。
.
今日もいちりんあなたにどうぞ。
.
ヒマワリ 花言葉「あなたを見つめる」