『らんまん』と牧野富太郎博士によせて

Posted on 2023/09/30

家守りし 妻の恵みや 我が学び 
世の中の あらん限りや すゑ子笹
牧野富太郎

この半年間放映されていたNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』が終了しました。ご覧になっていた方も多くいらっしゃるのではと思います。

実に私も毎朝楽しみにしていた1人、見終えてひとことにして傑作でした。当初は「植物学」というあまりに地味な分野で活躍した牧野冨太郎をモデルにしたということに人並みの驚きと期待を抱くとともに、大丈夫なのかな。。。なんて一抹の不安もあったのですが無用でしたね。

いまなお胸に残る万感の思い、語れどたりぬ名作として胸に刻まれました。

モデルになった牧野富太郎は、今さら語るまでもない日本における近代植物分類学の権威。その活動の一端を知ることができる書籍も多くあり、一部は電子書籍にもなっています。

『植物知識』牧野富太郎

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これは戦後間もない昭和24年、逓信省(現 郵政省)が牧野博士に執筆を依頼し刊行したものを、講談社学術文庫が『植物知識』と改題、現代表記に改め発刊したという一冊。

当時の漢字や仮名遣いのままでは理解が深まらなかったであろう記述は、かたくなな蕾をひらくように、やさしく今の言葉に紐解かれているので、おかげで博士の視点を近くしながら興味深く読みました。

花と果実についての概説が書かれている本ですが、博士の真意はあとがきにあります。

「われらを取り巻いている物の中で、植物ほど人生と深い関係を持っているものは少ない。まず世界に植物すなわち草木がなかったなら、われらはけっして生きてはいけないことで、その重要さが判るではないか。」

講談社学術文庫『植物知識』

「植物に取り囲まれているわれらは、この上ない幸福である。こんな罪のない、且つ美点に満ちた植物は、他の何物にも比することのできない天然の賜物である。」

講談社学術文庫『植物知識』

「人間に思い遣りの心があれば天下は泰平で、喧嘩も無ければ戦争も起るまい。
故に私は是非とも草木に愛を持つ事をわが国民に奨めたい。」

講談社学術文庫『植物知識』

実在の牧野博士は、ドラマの槙野先生以上に破天荒であったとの逸話も多いですが、残された著作の数々からも窺い知れるその造詣の鋭さ、植物への信頼と愛の深さには、こんな非凡が実在したのかと驚くばかりです。

このたびのドラマも、90年にもわたる博士の人生を描くことは並大抵の難しさではなかったのではと、脚本家をはじめ制作に関わった人たちの力量には頭が下がりました。

そんな製作陣と作品からも感じられたこの滲み出る愛と信頼、努力と優しさは、牧野富太郎が植物に捧げたそのものを受け継いだ賜物のように思えて、なおいっそうに感動を覚えた。という感想です。

皆さんはどんな思いでご覧になっていたのかしら。今日もいちりんあなたにどうぞ。

バイカオウレン(梅花黄連)

バイカオウレン 花言葉「情熱」

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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