「ダメな子」「悪い子」なんて、ひとりだっていない。
以前のこと、学校帰り花屋に立ち寄ってくれた小学生に、仕事中に折ってしまった使えぬ花を一つ渡したら、わあといい、お礼をいって帰っていきました。
そんなことはよくあり、気にも留めずにいたところ、閉め際になって一人の母親がはいってきた。さっきの花を手にして。
うちの子が盗んだんじゃないかと思って返しに来たんです、というのです。
外を見やるとさっきの子が、暗がりのなかで頭をしょげて立っていました。
母親には事情を説明したけれど、なんども「うちの子が勝手に持ってきたのかと思って」と子にも聞こえる声で反芻するので、思わず声を荒げてしまいました。
「この子がそんなことするわけないじゃないですか」
大人が抱いた小さなトラブルへの大きな疑心暗鬼が、子供の心に芽生えた品格を帳消しにしてしまったこと、それが自分が蒔いた種であったこと、
あの日の後悔を、今もずっと手放せないでいます。
一方で、花屋に立っているとよく、なんていうの? ありがとういった? 大きな声で、と声する親もいて、そうした子どもを試すしぐさを見るたびに、品がないと思ってしまう。
(ありがとうくらい)親より先に言える子は多くいるのに。目で伝えてくれるときもあるのに、(そのうち)いえるようになる子もなった子もいるのに、
なのになぜ、心でわかってるだけではいけないと言うんでしょう。先回りをするんでしょう。どうして待てないんでしょう。と、思ってしまう。
心でわかっていない大人より、子どもはずっとわかっているのに。と、思ってしまう。
「ダメな子」「悪い子」なんて、ひとりだっていないのに。でしょうほら、わかっているのにね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ランタナ 花言葉「協力」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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