美しい美しい桔梗いろのがらんとした空の下で

Posted on 2023/10/08

今日は二十四節気の寒露(かんろ)。冷たい露が草花に降り始めて、秋もすっかり深まる気候をあらわします。

花も旬をむかえ、虫たちの巣ごもりも盛んになる頃、とはされますが、年々季節のずれが大きくなっていることは否めません。ただ変わらないのは、秋は月、ということと、その月をおく夜の群青かなって思います。

夜空を「桔梗色のそら」と表したのは宮澤賢治。「色彩と光の文学」と呼ばれる宮澤賢治の作品は、何色よりも青への傾倒が見てとれます。

澄みわたる広くて深い東北の空、その空色をうつしだす北上川といった、賢治の生まれ育った花巻の自然は、彼の心をもその青に染めたのでしょう。

桔梗は竜胆(りんどう)とともに秋を代表する花ですが、秋の青天と対峙するような色した竜胆とはちがい、桔梗は水にささやくような美しさがありますね。

月を迎える時間のようなむらさき色、星のまたたきがわかるほどの群青、はたまた、それはそれは清らかな月明かりみたいな白色も。

白い桔梗の花

日本の全土にわたって自生するというから、あなたの近くにも咲いているんじゃないかしら。冷たい露が落ちてたら、季節は秋のしるしです。見つけたいのは、美しい美しい桔梗いろのがらんとした空の下で。今日もいちりんあなたにどうぞ。

美しい美しい桔梗いろのがらんとした空の下を実に何万といふ小さな鳥どもが幾組も幾組もめいめいせはしくせはしく鳴いて通って行くのでした。
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

桔梗 花言葉「変わらぬ愛」

桔梗色は、平安時代から愛されていた伝統色。