美しい美しい桔梗いろのがらんとした空の下で
今日は二十四節気の寒露(かんろ)。冷たい露が草花に降り始めて、秋もすっかり深まる気候をあらわします。
花も旬をむかえ、虫たちの巣ごもりも盛んになる頃、とはされますが、年々季節のずれが大きくなっていることは否めません。ただ変わらないのは、秋は月、ということと、その月をおく夜の群青かなって思います。
夜空を「桔梗色のそら」と表したのは宮澤賢治。「色彩と光の文学」と呼ばれる宮澤賢治の作品は、何色よりも青への傾倒が見てとれます。
澄みわたる広くて深い東北の空、その空色をうつしだす北上川といった、賢治の生まれ育った花巻の自然は、彼の心をもその青に染めたのでしょう。
桔梗は竜胆(りんどう)とともに秋を代表する花ですが、秋の青天と対峙するような色した竜胆とはちがい、桔梗は水にささやくような美しさがありますね。
月を迎える時間のようなむらさき色、星のまたたきがわかるほどの群青、はたまた、それはそれは清らかな月明かりみたいな白色も。
日本の全土にわたって自生するというから、あなたの近くにも咲いているんじゃないかしら。冷たい露が落ちてたら、季節は秋のしるしです。見つけたいのは、美しい美しい桔梗いろのがらんとした空の下で。今日もいちりんあなたにどうぞ。
桔梗 花言葉「変わらぬ愛」