薔薇

Posted on 2023/10/26

バラがこわごわと刺の上に花をひらいた。ひとつはほんのりと紅色に、もう一つは絶望の白色に、そして三つめは、白でも紅でもなく、二つから盗んだ色に。ウィリアム・シェイクスピア

古代から現代へ、時は経ても変わりなく、人間が魅了され続けてきた薔薇(バラ)の花。長い歴史の中で、この花ほど人の心をとらえて離さない花はないでしょう。

古代ローマ人にとってバラは愛と美、そして喜びと陽気さの象徴とし、アラブ人は、マホメットの額から落ちた一滴の汗から、この世の最初のバラが生まれたと信じました。

ペルシャの詩人は、花々がアラーの神に新しい君主を求めた時にバラを授かったと残しており、ルーマニア人は、光り輝くバラを、かつては美しい王女であったと伝説にして語り継いでいます。

クレオパトラは、武将アントニウスをエジプトに迎える際、宮殿全体をバラで飾り、また廊下にも花びらを敷きつめたという風聞もありますね。

日本でも作家岡本かの子(岡本太郎の母)が亡くなったとき、その棺の中には、あふれんばかりのバラの花で埋め尽くされたとか。

ちなみに、バラを世に広めたのはナポレオン妃のジョセフィーヌといわれてます。

彼女のコレクションは250種類にも達し、またそのバラ園で働いていたアンドレ・デュポンが数々の交配をさせて品種を増やしたという。それを機に、この時期よりも前のバラを「オールドローズ」、 それ以後のバラを「モダンローズ」と称するようになったそうです。

秋は秋でバラの季節。この季節には、残照の中に咲くバラも趣きあっていいですね。ちょっと疲れもみてとれて、同情できて。今日もいちりんあなたにどうぞ。

バラ 花言葉「愛情」