11月
仏手柑(ぶっしゅかん)
消えたがる冬日掴んで仏手柑 -町田しげき
冬植物のなかでも一際つよい生命力を感じさせるのはミカンの類。金柑、柚子、文旦、不知火、ほかにも今や品種改良が進んで、いろんな種類があります。
そのどれを手にのせても他の果物にはないありがたみを感じますが、なかでも独特の世界観をもつのが仏手柑(ぶっしゅかん)です。
手招きされるように見えるその形は、合掌する両手にも見立てられ、「仏の手」とも称されます。見ようによってはチョッとした不気味さもありますが、末広がりを想起させることから正月飾りにも用いられる縁起物です。
さてこうして仏手柑を思うということは、冬に入ったことを確かにする内なる知らせでもあります。年々早まるクリスマスの準備と共に、じわじわと寄って来る暮れの気配。いやな緊張感をおぼえる季節になりました。
何はともあれ穏やかに、無事に年末が迎えられるようにと、手を合わせたくなるこの頃です。
ブッシュカン 花言葉「媚びない美しさ」