11月
花鳥諷詠(かちょうふうえい)
「花鳥諷詠(かちょうふうえい)」とは、俳人高浜虚子のつくった言葉で、虚子が俳句を作るさいの基本理念とされました。
耳にしたことのある「花鳥風月」に似ていますね。花鳥風月というと美しい自然風景そのものや、それを愛でる風流のことをいいますが、
虚子のいうそれは、自然界(花鳥)だけでなく、それに共鳴する人間界の営みも、森羅万象のうちなるものとして、客観的に詠う(諷詠)のがいいよ、とする、創作上での理念をあらわしています。
人間も自然の一部である。虚子は終生この主張をくり返したといいます。しかし当時は自然と人間、主観と客観といった二項対立的な考えも根強く、誤解も多くされたようです。
ここで虚子の理念を、私の仕事におきかえてみます。たとえば、植物をつかって創作する際に、私(たち)はまず自然(植物)観察からはじめます。
この観察(客観)を繰り返していると、観ている対象が、なんだか自分の心の中に溶け込んできて、心と一つになる、という感覚を抱きます。これは主観的なものです。
とこの時点で、少なくとも私においては、自然と人間は対立するものではなく、互いにそこに在るものにすぎないことを自らに理解しますし、虚子の「人間も自然の一部である」という主張もわからなくもありません。
ともあれ「花鳥諷詠」という言葉もまた、自身を振り返ることを、自然によりそう心を、思い出し思いなおさす言葉だなあと思いました。
朝から他愛ない話になりました。今日もいちりんあなたにどうぞ。
暖き冬日あり甘き空気あり 高浜虚子
キダチダリア 花言葉「乙女の真心」