12月
「花ことば」の話
花屋をしていると「花ことば」について聞かれることは少なくありません。ただひと口に「花ことば」といっても、古代と近代での違いもあれば、神話や宗教的な背景でも変わります。
ひとつ言えるのは、花そのものが人間に与える印象や影響とは、厳密ではなくとも共有する性質や象徴があるということ。
とくに色が人の心の中に引きおこす印象や感情には、絶対的ではなくても普遍的なものがあり、またその象徴性を引き継いだ花ことばもかなり多くあります。
たとえばバラなら赤は「愛」白は「純心」黄は「嫉妬」などがそうですし、ガーベラのピンク色は「思いやり」です。
色に対して興味深いのは香り。西洋人が香りにも象徴をみいだすのに対して、東洋人、とくに日本人には香りを貴んで言葉にするという文化はなかったようです。
おそらく「香道」がそうであるように、微妙な香りの違いをたしなむ日本人にとっては、濃厚な花の芳香は敬遠する対象であったのかもしれませんね。
今日の花はロウバイ。ほかの花が見られなくなる冬に、どこからともなく漂う香りとつるんと光る小さな花は、見つけた人々に喜びを与えてくれます。
あのさり気ない香りと佇まいも、日本人に好まれる所以でしょう。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ロウバイ 花言葉「奥ゆかしさ」