かぞへ日となりし日ざしや青木の実
かぞへ日となりし日ざしや青木の実
-久保田万太郎
色なき冬の赤い実は縁起物。南天や千両など、この季節にみる赤い実はどれも豊かな福々しい輝きに充ちていて、お正月の飾りにも欠かせないと思わせます。
今日の赤実は青木の実。地味で目立たない花ほど、美しい実をつけるといい、青木もその例にもれません。そのつややかに光る赤い実は、桃葉珊瑚という別名があるほどです。
昔から下町の路地には、空いた樽や桶、ポリバケツなどに植えこんだ花木を並べる園芸文化があり、細い路地にあるほとんどの家の軒先や小さな敷地には、ここかしこに色とりどりの季節の花が咲きます。それらは、きっと家人が大事に育てたんだろうと見てとれる、どれも個性的で親しみを感じさせるものばかり。そこに青木の実もありました。
「昔はこんな小さかったのよ」「今年はたくさん実がついた」「これはお隣にいただいた」「ほっといても毎年咲くのよ」
そんな会話があるのも東京の下町の日常。植物と暮らす、なんて花屋が声高にしなくても、じゅうぶんに豊かな文化があることを、ご近所のお母さんやお父さんたちが教えてくれます。いつまでも大切にしてゆきたい文化です。
おかげさまで今日で納めが出来ました。いよいよ明日は大晦日、皆様にとっても、おだやかな年末年始になりますように。今日もいちりんあなたにどうぞ。
アオキ 花言葉「初志貫徹」