12月月夜の晩 最後の満月Posted on 2023/12/27 「月夜の浜辺」中原中也 月夜の晩に、ボタンが一つ波打際に、落ちていた。 それを拾って、役立てようと僕は思ったわけでもないがなぜだかそれを捨てるに忍びず僕はそれを、袂に入れた。 月夜の晩に、ボタンが一つ波打際に、落ちていた。 それを拾って、役立てようと僕は思ったわけでもないが 月に向ってそれは抛れず 浪に向ってそれは抛れず僕はそれを、袂に入れた。 月夜の晩に、拾ったボタンは指先に沁み、心に沁みた。 月夜の晩に、拾ったボタンはどうしてそれが、捨てられようか? この詩に触れて、今年も、いまだに捨てられないものがあることを、思い出します。捨てられないなら役に立てようと思い、思って取っておいたことを忘れてしまい、思い出したものの役に立つと思えず、捨てようと思ったけれど抛れなかったもの。 すっきりとかたを付けたい心境なのに、そうも出来ない年の暮れ、月夜の晩。今夜は今年最後の満月です。今日もいちりんあなたにどうぞ。 スイセン 花言葉「私のもとへ帰って」 古い記事雪中松柏新しい記事ピンから桐まで