12月
水仙にたまる師走の埃かな
年末も押し詰まってくると怱忙として日は暮れて、いつの日にか活けた花のことも、顧みることがなくなっていた。
深々と清浄で気品ある水仙に埃が降りる、師走とはそれほど多忙な日々だったと詠った一句です。
「雪中華」という異名がある水仙。厳しい寒さに耐え、雪の中でも芳しい香りを放つ花を咲かせる冬を代表する花です。
極寒であっても花を咲かせる精気、葉先まで意思を通すような花姿は、苦しい時でも自力で乗り越えようとする人の心に重なります。
この句にある師走に活けた水仙も、忙しない日々を慰める花であったことでしょう。
それはそれとして、新年を迎えるにも相応しい花です。目にするだけで訪れる春を待つ気持ちがよりいっそう高まるのを感じます。
茶花でも一種でいける花ですから、その作法を良しとして、ささやかに正月花としてお迎えください。
本年もありがとうございました。どうぞ良い年を。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
スイセン 花言葉「尊重」