泉鏡花と『天守物語』
先日、歌舞伎にお誘いを頂き玉三郎演出・出演の『天守物語』を観てまいりました。
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/846
『天守物語』は泉鏡花の戯曲で、「姫路城(白鷺城)の最上階には異形の者たちが住む」という伝説に、ほかの奇怪な話を織り交ぜ、魔界にいる者とこの世の人間との恋を描いた作品です。
泉鏡花の戯曲の中でも屈指の名作といわれますが、それは他でもない鏡花自身がもっとも愛した戯曲だったとか。鏡花といえば情緒的、空想的、ロマンティック、奇怪などと、その特徴はなかなか表現しがたいものがあります。しかしその奇矯な世界観は、いつどれに、どのように触れても無二の新感覚をおぼえるから不思議です。
また鏡花の人柄については、文字の書かれたものを大切にすることはなはだしかったとのこと。きっとそうした文字に対する潔癖さもまた、作品の表現に滲み出ているんでしょう。
と、あまり深くはまると戻ってこれない中毒性があるのもならでは。植物の名も多く登場するから尚惹かれるのですが、うっかりすると城の天守に連れていかれるかもしれず、注意をせねばなりません。今日もいちりんあなたにどうぞ。
キキョウ 花言葉「変わらぬ愛」