猩々(しょうじょう)とポインセチア
きのうの投稿で泉鏡花の『天守物語』について触れましたが、一二月大歌舞伎の第三部は天守物語ならびに『猩々』もあり、双方合わせてたいへん見ごたえのある演目でした。
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歌舞伎には能や狂言の作品を題材にしたものが多くありますが「猩々」もそのひとつです。酒に酔った猩々が水辺でおどける「猩々舞」には、酒好きの霊獣からあふれる愛嬌と品格が漂います。また能舞台を模した華やかで格調高い松羽目物の舞台も、変わらず歌舞伎の見どころです。
この猩々、中国古典に登場する架空の生物で、体は赤い毛に覆われ人語を話し、酒を好むという設定ですが、この名を冠した植物があります。そう、ポインセチアです。
ポインセチアの和名は猩々木(しょうじょうぼく)といいます。赤い花の色を日本の伝統色「猩々緋」に見立てたとされますが、きっと能の演目だった「猩々」から想起してこの名を付けたのではないかと、推測したいところです。
歌舞伎『猩々』は初春歌舞伎の演目になることもありますが、花名にもなったととらえて観ると、舞台上に舞う赤色がまるでポインセチアの華やぎにも重なって、今の季節に見るのもいいものだなと感じ入りました。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ポインセチア 花言葉「祝福」