12月
銀杏(いちょう)

古い時代には、銀杏や萩のような葉が黄色くなるのを「もみじ」といったそうで、歳時記では銀杏の黄葉を「銀杏黄葉(いちょうもみじ)」落ち葉を「銀杏落葉(いちょうらくよう)」といいます。
秋に天気が良く、葉にも日がよく当たり、そして昼夜の気温が大きい年は、紅(黄)葉の葉色も一層美しくなるそうで、その変化は高齢の葉枝ほど、早くから色がつき始めると知りました。
銀杏は土地を選ばず生育することから、日本では街路樹として、また公園や寺社などでもよく見ます。その視覚的な美しさは文学界でも多くの作家の心を射止めてきました。今日はその中から与謝野晶子の歌を。
「夕日の中を銀杏の葉が舞い散るようすは、まるで幾多の小さな鳥たちが飛び交うようだ」という、何とも鮮やかなイメージを私たちの心に残してくれる秀歌です。そろそろ銀杏も色づく季節。あなたの中にも舞うかしら。今日もよい一日を。
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に 与謝野晶子
