1月
かたくりの花
たくさんの娘子たちが、入り乱れては賑やかに水を汲んでいる
その傍の寺井のほとりには、群れて咲く堅香子の花
堅香子(かたかご)とは片栗(かたくり)のこと。ご存じ「片栗粉」の原料(地下茎)です。山野草のひとつで、早春、まだどの草木も芽吹かぬうちから葉をみせ、まもなく紅紫色の首を垂れた可愛い花が、山野の樹々の足もとを一面に彩ります。
それはまるで雑木林の底一帯が、一つの花にも見えるほどの群落ですが、よく見れば、小さな片栗の花一つ一つの花盛りです。
先の家持の歌ですが、実は万葉集の中でも、堅香子(かたかご)が歌われたのはこの一首のみ。
片栗の花のそばで、花の群れにも劣らずにぎやかに、若い娘たちが水くみをしている。それは当時の生活において、なんてことない日常の景だったのかもしれませんが、家持の眼には、いとも興味深く、おもしろく映ったのでしょうね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
カタクリ 花言葉「初恋」