二十四節気 七十二候
季節感がなくなったといわれて久しい昨今ですが、日本人にとって春夏秋冬のうつり変わりは、今でも大きな影響力があります。自然中心に表されたことばの多くは、人々の心の凝縮を表した原風景であり、また四季折々の輝きをとらえた歌や句は、私たち日本人の心のふるさとのような存在です。
そのような自然ことばの素地になっているのが「二十四節気 七十二候」です。読みかたに迷われる方も多いですが「にじゅうしせっき しちじゅうにこう」と読みます。
「節気」は「季節の節目」のこと。二十四節気は、一年365日を24の節目で分けたもので、年に約15日ごと訪れます。
一方の「候」は「きざし(予兆)」のこと。自然界の様子をうかがう、という意味になります。七十二候は、一年365日を72回に分けたもので、自然現象や動植物の変化を知らせるような短文で表します。たとえば今でしたら「雪下出麦(ゆきわりてむぎいずる)」といったように。
このように二十四節気で季節の節目を知ったあと、さらに「そろそろ自然界ではこんな変化がある頃です」と知らせてくれるのが七十二候。まるで自然界から届くお便りのようですね。
今のように物質に頼る生活がなかった昔の人は、不便と忙しさに見舞われていたからこそ、わずかな時間の中にも心の拠りどころを見つけることをせずには居られなかったのでしょう。
行き来する山道を歩く中で美しい色に目を止め、木々を見上げては耳を澄ませ、それらを言葉にあらわしながら記録し、心の豊かさを研ぎ澄ませていたのでしょう。
そんな先人の生き方に尊さと憧れを抱きつつ、そんな感性を忘れずに、この一年も過ごしてまいりたいと思います。今日もいちりんあなたにどうぞ。
この度の災害に際し、衷心よりお見舞い申し上げますとともに、皆様のご家族、お知り合いの方々が、ご無事でありますことをお祈り申し上げます。
ヒヤシンス 花言葉「哀しみを超えた愛」