人日のあすに連れゆく母子草
人日のあすに連れゆく母子草 咲於
1月7日は五節句のひとつ人日(じんじつ)の節句。七草です。
中国の占いに由来する「人の日」ですが、昔は疫病のせいで子どもが命を落とすことも多く、元旦一歳と数えられていた時代、大人たちは子どもが誕生から7日生き永らえたことを喜び、この日にお祝いしたとも言われます。
そこに古代からあった「若菜摘み」の習慣があわさって、子どもの健やかな成長と一年の無病息災を願っていただくのが七草粥です。
芹(せり)、なづな、御行(ごぎょう)、はくべら、仏座(ほとけのざ)、すずな、すずしろ、これぞ七種。
ここにある御行は母子草 (ははこぐさ)の古称。ほかの野草が寒さに身をちぢめている頃、フェルトのような柔らかな身なりをして、冬の野にさり気なく生えます。花は春、黄色の小さな花を咲かせますが、その寄り添う姿もまた、まるで健気な母子のようにも見え、見つけた者の気持ちを温めてくれる優しい花です。
ちなみに「父子草」と呼ばれる野草もあります。こちらはふっくらとして優しい母子草に対して名付けられたといい、やせて地味な花ですがそれはそれとして風情があり、家族思いの父親を思わすような野の草です。
このように、花の名前に触れては昔の人がどのような心持で花を見ていたかを連想するのは大変に楽しく、またその豊かな感性と情緒の深さに出会えたるたびに、ありがたく思う毎日です。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
ハハコグサ(ゴギョウ) 花言葉「無償の愛」