空いろの花

Posted on 2024/01/13

『空いろの花』萩原朔太郎

たはかれどきの薄らあかりと
空いろの花のわれの想ひを
たれ一人知るひともありやなしや
廃園の石桓にもたれて
わればかりものを思へば
まだ春あさき草のあはひに
蛇いちごの実の赤く
かくばかり嘆き光る哀しさ

空いろの花のわれの想ひを、誰一人知る人も、ありやなしや。

萩原朔太郎が恋人に贈ったという自筆自選歌集のタイトルに目を引かれました。空いろの花のわれの想ひを。朔太郎はどんな花を胸の奥に浮かべたかしら。

青色は、幸せをあらわす色、世界共通にして好かれる色とされています。一方で、わずかな濁りを交えたとたん、青空に見る心地よさは影を潜めます。触れたくても手に届かない青空を彷彿とさせるように、夢や理想をイメージさせる色であり、また悲哀や哀愁をもあらわす二面性。

きっと朔太郎は愁いをみたのでしょう。その空いろに重ねたのは、北陸の空でした。雪の舞う寒天、いまどれほど哀しい色をしていることでしょう。

もしも空が砕けて降るならば、花が舞ってくれたらいいのにと思いました。空いろの花。雪のかわりに、もしも花が降りてきたら、肩に降りてきたら、触れれば散るその花弁なら、きっと皆の痛みも散らしてくれるように思うのでした。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

オオイヌノフグリ 花言葉「信頼」

別称は「星の瞳」

Text
フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/