「声を聴く」2月
2月になりました。子どもが生まれるが「如く」草木が芽生える月、ということから、如月。「生まれ月」とも言われます。
とはいえ、まだまだ土の中に眠る植物は多く、地上も、まだ多くの生物は、身をちぢこめて過ごす季節。そこで冴えるのは、音です。
色の少ない時期ですが、無い時にはあることに気づくもの。2月は声をきく月、と幸田文はいいました。木枯らしの声、氷雨の声、鍋のにえる声。
そうきくと、土の中からは、冬ごもりの孤独から解放されたし囁きが聞こえるように感じます。それは土の匂いに混じってくる声です。田舎育ちには、かすかにわかる声です。
肌木の先からは、今かまだかと出番を待ってきた、冬芽たちの声が聞こえます。気の遠くなるような喜びを味わった声です。
近所には、辛夷が花芽をつけました。梢には、季節への隠し切れない嬉しさ、季節を届ける喜びを浮かべて隠しません。あと何日もせずに、花は咲いてくるかしら。それともまた冴え返るのかしらと眺めますが、まだ声はしません。
しかし、こうして花が咲くたびに、ぼんやり過ごしている日常にも輪郭がつく、ありがたく感じるのだから、花というのは、よくよく人情をわかっているんだと思います。
2月は「声を聴く」月。耳を澄ませるひと月です。今日もいちりんあなたにどうぞ。
コブシ 花言葉「歓迎」