ラフマニノフ「リラの花」
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ロシア出身の作曲家、セルゲイ・ラフマニノフといえば、胸に訴えかけるような抒情的な楽曲が多いのが特徴的。
その重厚に折りかさなる和音、身体の中にまで染みわたる、光沢のある旋律は、ラフマニノフが幼いころから耳にしてきた、教会の鐘の音が源泉になっていると言われます。
鐘、といえば、フィギュアスケートのフリー曲でも扱われたことのある、前奏曲『鐘』が、まさにラフマニノフの曲ですね。
空に鳴りわたる鐘の音のように、おなじモチーフが繰り返されるところにも文学的な雰囲気が匂いたつ、ラフマニノフを語るに欠かせぬ名曲です。
一方で、ピアニストとしても優秀だったラフマニノフは、甘美でロマンティックなピアノ協奏曲も、数多く作曲しました。そのなかに「リラの花」という歌曲があります。
これは彼が従姉のナターリヤ・サーチナと結婚したときに作った曲と言われ、この曲が知られるとともに、「ラフマニノフと言えばリラ」と言われるほど、リラは彼を象徴する花になりました。
ちなみに「リラ」とは「ライラック」のことです。
https://www.youtube.com/watch?v=06xw8UTnTRE
さて歌曲、とご紹介したように、この曲にはエカテリーナ・ベケートワによる美しい歌詞がそえてあります。
季節には少し早いですが、初夏を思わせた週末の陽気に、ぴったりなこの花を。今日もいちりんあなたにどうぞ。
朝はやく 夜が明けるとき
露に濡れた草をかき分けて
私はさわやかな朝の空気を吸いにいく
かぐわしい木陰
リラの花が咲き群れる場所
私はそこへ自分の幸せを探しにいく人生にはたったひとつの幸せがあり
私はそれを見つけたい
そしてその幸せはリラの花の中にある
緑の枝の上、かぐわしい花房の中に
私のささやかな幸せは花開いているのだ「リラの花」エカテリーナ・ベケートワ
ライラック 花言葉「思い出」
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