春は養う
元日に掲げる「一年の計は元旦にあり」のように、春が来るたびに思い出す言葉があります。「養之如春(これを養うこと春の如し)」もそのひとつです。作家 井上靖が座右の銘にしていたことでも知られるこの言葉、漢書では、
涵之如海(これを涵(ひた)すこと海の如し)
養之如春(これを養うこと春の如し)
と続きます。
学問や見識というものは、海のように広い文化的教養にたっぷり涵らせることで培われるもの。また春の陽ざしが万物を育てるように、人の意欲や才能も、あたたかな愛情で大らかに、じっくりと育んであげましょう。という意味ですね。
いろいろ始まるこの四月、人にばかり意識が向きがちですが、道々で目にする木々を見るのも楽しい季節です。ただの木、なのですが、近くに寄ってみると、木によって、芽吹きにも遅速の差があることや、芽の色や形にも違いがあることに気づきます。なるほど違いは個性と思います。自然は色んなものを贈ってくれる。そう思います。
そうして眺めながら、春の光をあびて芽吹く草木のように、自分の意欲も高めていきたいと思う月はじめ。長かった冬から解放される喜び。あせらず、時間をかけてゆっくりと、育てていこうと思います。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ナシの花 花言葉「和やかな愛情」