フジ子・ヘミング 哀悼

Posted on 2024/05/04

特に好きなのは、輝くように緑がでてくる五月、六月。植物では白い花。とくに百合が好き。ほんとは大きい木のほうが、花より好き。
フジ子・ヘミング

ピアニストのフジコ・ヘミングさんが天に召され、哀悼とともに、手元にある著書をひらいています。『フジ子・ヘミング 運命の力』。

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若い頃から苦難に悩まされ続けたという、フジ子さんの波乱に満ちた人生は、その名を世に知らしめた、かのドキュメンタリー番組にはじまり、以降もたびたびメディアで取り上げられてきました。

そんな高名な方とは、つゆとも知らぬ2008年の頃、たまたま手にしたのが、このエッセイ。その中で惹きつけられたのは、彼女の放つ、純真な言葉の数々はもちろんのこと、何より印象的だったのは、フジ子さんの孤独の傍らに、いつも愛らしい小物や絵画や、植物が置かれてあったこと、またその鮮やかな色彩でした。

ご自身が描く絵の中や刺繡にも、まるで小さな庭を見るように、大小の花がちりばめられており、そうした純真無垢が目に飛び込んで来る一方、彼女の心底に揺蕩う孤独が感じられたこと、その対比に心を奪われたことを、今ふたたび思い出しています。

あえてここでは、これ以上のヒストリーにふれることはいたしませんが、ひとつたけ、この本にある「あとがき」を。

きっと今も天国で、私たちが希望を失わずに生きていけるよう、ピアノを弾き続けていることを願いながら、彼女の愛した五月に、哀悼の意をこめて。今日もいちりんあなたにどうぞ。

あとがき

私の歩んできた道は、困難に見えるかもしれない。
インタビューを受けて昔のことを聞かれたりする。
なかには思い出したくないこともある。
人間はなんのために生きるのかって考えるけれど、
人生はいろんな苦難を乗り越えていくためにあると思う。
なにもしないで、生きていくなんてダメ。
(中略)

トルストイの言った言葉、
「他人に対して、どうあるべきかを押し付けてはいけない」
をよく思い出す。
人間は身近な関係から、違うところを認め合っていかないといけないわね。

若いときはちょっとしたことでもしゃくにさわって、人を傷つけたりしたこともあった。
それで、夜も眠れないくらいに悩んだこともある。
でも、嫌なことを乗り越えていけばいいのよ。
淡々と空でも見て。
人間がそんな気持ちになれば、戦争も起こらなくなるでしょうに。

2001年5月
ピアノの前にて フジ子 ヘミング

『フジ子・ヘミング 運命の力』より

シラユリ 花言葉「堂々たる美」

運命はいつか必ずやってくる。

Text
フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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