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月と六ペンス

Posted on 2024/06/02

艱難汝を玉にす、というが、あれはうそだ。幸福は、たまに、そういう作用をすることもあるが、不幸はたいてい、人間をけち臭く、執念深いものにするのが関の山なのだ。
『月と六ペンス』サマセット・モーム著

『月と六ペンス』は、画家のポール・ゴーギャンをモデルに書かれたという作品。

モームは医者でもあったそうで、その視点での人間観察の妙が、ほかの作品の中にも生きているといいます。訳者のあとがきにも「この人(モーム)の作品を眺めてみると、絶好の人間研究ができる」とあり、興味を深めていることろです。

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さて、ここにある「艱難汝を玉にす(かんなんなんじをたまにす)」とは、人は苦労や困難を乗り越えることによって、成長し大成するものだ、という喩。

苦労を乗り越えることで、人は不屈の精神を養い、のちに立派に成長する、という言葉です。

興味深いのは、この本の中で「不幸」と訳されている箇所が、別訳では「苦労」とあったこと。

苦労と不幸。

若いときの苦労は人を成長させるといいます。逆境は人を強くする、というあれです。

しかし、その苦労の山を乗り越えられない時、人の心はどう成長するでしょう。またそれが、自身の中で「不幸」と扱われたとき、人はその不遇を乗り越えられるのでしょうか。

過去に見舞われた体験を克服できなかったとき、身体は大人になるものの、心の成長は留まったまま、卑屈になったり、けちになったり、意地悪になったり、執念深くなることもあるでしょう。

自身は多くの苦労も痛みも体験しているにもかかわらず、人に与えている苦痛や暴力に気づけない人もいますね。

そんな残念とも悲しいとも言いえぬ人間像を思い浮かべながら、「人間とはそんなものだ」そんなモームの声を浮かばせながら、期待と諦めを交錯しながら、今夜はこんな一冊です。

タイトルの「月」は夢を、「六ペンス」は現実を意味するんだそう。今日は夢が覚めた気分。幸か不幸か。今日もいちりんあなたにどうぞ。

ドクダミ 花言葉「自己犠牲」

人間なんて、そんなものだ

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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