雨降り花
その昔、その花を摘むと雨降るよと、大人に言われてびっくりし、花輪をつくって持ち帰ったことを、後悔した夜がありました。シロツメクサの花でした。
幸いに、翌朝に雨はなかったけれど、ああいう冗談を真に受けるところ、大人になった今も変わっておらず、たびたび人に笑われます。が、このままゆくしか無さそうです。
「雨降り花」と呼ばれる草花があります。「その花が咲くと雨が降る」、あるいは「その花を摘むと雨が降る」と言い伝えられている花です。
私が子どもの時分に知ったのは、シロツメクサでしたが、他にも、ヒルガオ、イチリンソウ、ホタルブクロ、キツネノボタン、ギボウシなどもそうだそう。
ギボウシと言えば、ご近所のおうちの玄関先に、いろいろ鉢が置いてあり、通りすがりに見やると、ギボウシの花が咲いていました。すべすべとした陶磁のような葉の上に、雫を連ねた花茎が、ちょっぴり重たげに垂れており、それに眼がいったんですね。
みんなが紫陽花に気を取られている今に、ふいに見つけた花が嬉しくて、とっさに知らせたくなりました。ところが、そんなときに限って手元には、何も持っておりませんでした。嬉しいときの記録って、三度に一度はそんなものですね。ギボウシも、とてもきれいな花ですね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ぎぼし咲くや石ふみ外す葉のしげり
室生犀星
ギボウシ 花言葉「変わらぬ思い」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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