たちばなの花
香をかげば昔の人の恋しさに花橘に手をぞ染めつる
曽禰好忠
橘(たちばな)といえば、ミカンなど柑橘類一般の古称でもあり、古来からは春の桜とともに、日本人に親しまれてきた植物のひとつです。
古事記に、永遠に香る木の実「 非時香菓(ときじくのかくのこのみ) 」というのがあるそうで、これが橘に当たるとされてい、また万葉集のなかにも、橘を詠んだ歌は68首あります。
聖武天皇の歌に「橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の樹」とあるのですが、この常緑木がいだく永続性を「文化の継承」にかけてデザインされたのが「文化勲章」です。
美味しいのかな?と思いきや、そのまま食用とするには不向きとのこと。けれど、ちいさな白い花や果実にある芳香、そして濃緑の葉を目にすれば、なにもせずとも心に安寧を与えてくれます。また、歌の数々にある情景を思い描くだけでも、橘がいかに人に愛されてきた植物かが伝わってくる思いです。
花は五月の頃ですが、このむしっと重たるい空気の中で、何か清涼なものをと思ったときに、たちばなの果実の匂いの爽やかと、目にも潤う白花が、ふっと思い浮かびました。
よい連休をお過ごしくださいね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ハナタチバナ 花言葉「追憶」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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