オリーブと平和
2024年のオリンピックがはじまりました。オリンピックに関係性が深い植物といえば、古代より勝者に授けられる冠につかわれた「オリーブ」があります。
冠にする植物というと、ローレル(月桂樹)もありますが、ローレルは「芸術と音楽」をつかさどる太陽神アポロンのシンボル。対してオリーブは「平和と勝利」をつかさどる主神ゼウスのシンボルになっており、ここから古代オリンピックにおける勝者には、オリーブでつくった冠が、授けられられたということです。
オリーブの枝が平和の象徴であることは、国連の旗に描かれていることからも自明ですが、これは旧約聖書にある「ノアの方舟」物語に由来します。
ノアはアダムから10代目に当たる子孫です。そのころの世の中は、人間が増えたことにより、知恵で暮らしが楽になる一方、人々の堕落と混乱は極まるばかりで、とうとう神の怒りに触れました。
人間を創造したことを後悔した神は、この世の乱れを立て直すには、一度この世から人間を一掃するしかないと考えます。そこで、乱れた世の中でも唯一心の清い人間であったノアだけ残し、ノアとその子孫で、新世界を作ることにしたのです。
オリーブの登場は、物語のくだり「神の怒りが起こした大洪水のあと、ノアが陸地を探すためにハトを放つと、そのハトがオリーブの枝をくわえて帰ってきた。それを見たノアは陸地が近くにあることを知った」という節にあります。ハトがオリーブとともに平和のシンボルとして描かれるのも、これが由来です。
古代から今日に至るまで、何一つの無駄もなく、人々の生活を支える木として親しまれてきたオリーブ。
いかなる時代にも、人間は植物から健康を、勇気を、そして希望を与えられてきたのだな。そんなことを思いださせる植物、そしてノアの方舟物語。平和がいちばん。今日もいちりんあなたにどうぞ。
オリーブ 花言葉「平和」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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