台風雑記
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台風と云ふ新語が面白い。立秋の日も数日前に過ぎたのであるから、従来の慣用語で云へば此吹降は野分である。野分には俳諧や歌の味はあるが科学の味がない。勿論「野分の又の日こそ甚じう哀れなれ」と清少納言が書いた様な平安朝の奥ゆかしい趣味は今の人にも伝はつて居るから、野分と云ふ雅びた語の面白味を感じないことは無いが、それでは此吹降に就ての自分達の実感の全部を表はすことが不足である。
『台風』與謝野晶子
昨日は二十四節気の処暑。この場合の「処」は「収まる」という意味で使われており、したがって処暑は「暑さが収まるころ、落ち着くころ」という意味をもちます。
今年の夏は例年以上に酷暑が続きましたが、立秋あたりからにわかに吹きぬく夕風を感じ取るようになりました。そのような気配の変化も、暦を知ってなければ、感じとることもなかった季節感だったのかもしれない。そんなことを思います。
さて、九月の声が聞こえる頃になり、その声を届けるかのように台風がこちらに向かっております。昔は台風にあたる突風を「野分(のわけ)」と呼び、文字の通り「野の草木を吹き分ける風」という意味で、秋の強い風のことをいいました。
そうきくと、いつから台風と呼ぶようになったんでしょうね。いまいう台風は、野を分けるどころではない、山も割るのではというほどの破壊力。狭い地形の関係で、そのたびごとに被害も多く聞こえてき、最近耳にするゲリラ豪雨なんて言葉とともに、その威圧だけでもびくびくします。
誰もが期待を抱く次の節、おだやかな秋待つまでの水見舞い。
今はただ予報が出るたびに、大きな被害が出ないことを祈るばかりです。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ダリア 花言葉「気まぐれ」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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