島唄の花
「でいこの花が咲き 風を呼び 嵐が来た」というフレーズは、宮沢和史 作詞『島唄』の歌いだし。ご存じの方も多いと思いますが、沖縄にはこれに重なる「デイゴの花が見事に咲くと、その年は台風の当たり年」という言い伝えがあるそうです。
デイゴは沖縄の県花で、花の咲く時期は夏前です。深紅色をした燃えたつように美しい花が、3月から5月頃に咲きます。
しかし、実際は毎年咲くわけではなく、年によって花の量も変わることから、沖縄の人はデイゴの咲き具合でその年の台風を占うらしく、「デイゴがよく咲いた年の夏は台風が多い」とのことです。
さて、先の『島唄』ですが、歌詞を見ていくと、表面的には男女の別れを歌ったラブソングに映ります。しかし実際は、宮沢氏が沖縄で出会ったという、一人のおばあさんから聞いた「沖縄戦での悲劇と平和への希望」をうけとめて作った歌といわれますね。
この歌ができるまでの背景は、過去のメディアで、何度も特集されてますので、ご覧になった方もいらっしゃることでしょう。
でいごの花が咲く春に
米軍の沖縄攻撃がはじまった。
でいごの花が咲き誇る初夏になっても
沖縄攻撃は続いている。
多くの人が繰り返し犠牲となって
人々の哀しみは
島のなかで波のように広がった。
サトウキビ畑で愛するあなたと出会い
サトウキビ畑の洞窟で
愛するあなたと永遠の別れになった。
島唄よ風に乗せて
海の彼方にいる友と愛する人に
私の愛を届けてほしい。
島唄よ風に乗せて
この沖縄の悲しみを
本土にまで届けてほしい。
日本人にとって夏は、向き合う歴史も多い季節。幸いなことに私たちにおいては、体験にない歴史ばかり。
しかし同じ現代人からも、このような知られなき悲しみと魂を、空に放ちたいと願った歌が生まれました。
当時は誤解や批判も多くうけたようですが、この曲を聴いて、沖縄の文化や歴史と向き合えたという人も、多いのではないでしょうか。
また沖縄に限らず、大切な故郷に向き合うこと、大切な人に思い馳せたひとも、きっと居られることでしょう。
現代にも、このような名曲が生まれたことは尊いこと。いつまでも色褪せずに歌い継がれてゆくことを、心から願います。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
デイゴ 花言葉「生命力」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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