柘榴と良寛

Posted on 2024/08/25

掻きて食べ 摘み裂いて食べ 割りて食べ
さてその後は 口もはなたず
良寛

「爪で掻いて食べ、指先でつまんで裂いて食べ、手で割って食べ、その後は、口もあけずにモグモグと食べました。」

まるで手紙のようなこの歌は、越後新津の大庄屋、桂誉正の妻が、病床に伏していた良寛にザクロを送った際、そのお礼として桂家に贈った歌のひとつとされます。

良寛の好物と知ったうえで、七つものザクロを贈ってきた桂家のはからい。そんな戴きものがよっぽど嬉しかったのでしょう。良寛はほかにもこんな歌を贈っています。

紅の七の宝をもろ手もて おし戴きぬ 人のたまもの
(紅色の七個の宝のようなザクロの実を、両手で捧げて持ちましたよ。あなたから戴いた、その贈りものを。)

宗教家として生涯修行を続け、無欲の心を持ち続ける一方で、人々に寄り添い植物を愛した良寛。この歌からも、人を大切にし、野の花をはじめとする植物が大好きだった良寛の、無邪気な人柄が伝わってきます。

さまざまな文学作品において、あらためて読み返したときに、以前とは違う印象や感想を抱くとはよくあることで、それは短歌や俳句においても然り。

良寛にいたっては歌ももちろんですが、折に触れて胸に抱いた感慨や心情を、こんなふうに素直に歌に詠んだ彼の人間性に、以前にもまして憧れいだくこの頃です。今日もいちりんあなたにどうぞ。

ザクロ 花言葉「円熟した優雅さ」

掻きて食べ 摘み裂いて食べ 割りて、食べてみたい

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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