藤袴(ふじばかま)「あの日を思い出す」
お彼岸が過ぎたら、約束通りに暑さもやわらぎ、やっと秋が吹きました。そよぐ風に触れるだけで、山のすすき野が眼に浮かび、藤袴が香るのを感じ、思わず嬉しさで頬がゆるみます。
そう、藤袴が咲く季節です。藤袴は見た目は地味な花ですが、古くから日本人に親しまれてきた植物で、
ことには山上憶良に詠まれたことで知られるようになった、秋の七草のひとつです。
秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌の花
尾花(オバナ)はススキ、瞿麦と書いてナデシコ、姫部志はオミナエシ、朝貌はアサガオとよみますが、キキョウの花をいっています。
このように、どれをみても風情ある植物なのですが、難点は字面だけみても一目で読めず、花も地味であるから目に浮かびにくく、重ねて春の七草とは違ってリズムが悪いため、より覚えづらいのです。
そこで順序をかえ、五七五にのせてみました。
ハギ キキョウ
クズ フジバカマ オミナエシ
オバナ ナデシコ 秋の七草
いかがでしょう。覚えて頂けるかしら。
さて、藤袴といえば淡い香りが特徴。干すと葉に桜餅の桜葉にも似た芳香があり、そのことから「香草」「香水蘭」などとも呼ばれます。昔はタンスの中に入れて着物に香りを移したほか、薬草や浴用としても重用されたようです。
秋の野に匂ひて咲ける藤ばかま
折りて贈らん その人なしに
良寛
(秋の野に匂い咲く藤袴をみると誰かに贈りたくなる。その誰か、がいるわけでは無いのだけれど)
このあたりでも、咲いてる場所はあるかしら。探してみようと思います。その間も、どうかこのまま秋でありますように。今日もいちりんあなたにどうぞ。
フジバカマ 花言葉「あの日を思い出す」
Text
フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。
「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/