重陽(菊)の節句
9月9日は重陽。中国に起源をもつ陰陽道で「九」は陽の最上級の数字で、この日は九(陽)が重なることから、大変におめでたい日とされてきました。
日本では「菊の節句」として五節句のひとつに数えられます。桃や菖蒲の節句ほど特別な行事は行われていませんが、奈良時代の宮中や公家の間では、菊酒を飲んで長寿を祈願する「菊花の宴」が催されていました。
菊は中国伝来の花ですが、当時は薬として重用されたにすぎず、この時代の人の眼には、美花として映ることはなかったようです。それを裏付けるように『万葉集』には菊の歌が一首もありません。
日本における菊といえば、皇室紋章の花であり、昔から冠婚葬祭に用いられるなど、日本の生活文化においては欠かせない花であります。しかし弔事(葬)に使う花としてのイメージばかりが根強く、いまだ忌み嫌われる側面があることは残念です。
喜びにつけ悲しみにつけ日本人の心に寄り添い、親しまれてきた菊の花。鑑賞花、栽培花の見ごたえもさることながら、たおやかに自由気ままに枝を広げる小菊の風姿にも心が躍ります。懐かしい、庭先からただよう菊花の匂いも、秋の日に輝く葉の美しさも。
今やすっかり廃れてしまった重陽の節句ですが、今日はこれを機に手にしてくれたら、きっと花も喜ぶでしょう。今日もいちりんあなたにどうぞ。
キク 花言葉「高貴」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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