名の木散る(なのきちる)

Posted on 2024/11/17

楢の葉の朝から散るや豆腐桶
一茶

ハゼ、ナラ、カラマツなど、その名の知られた樹木らも、鮮やかな紅葉に華やいだ後は、あたかも秋の終章を奏でるかのように、静かに散っていく。

そうした晩秋の樹々の紅葉が散りゆく様を「名の木散る」といいます。

真っ赤に染まった紅葉も美しいですが、それほど華やかではないものの、秋の黄葉もしみじみと美しいですね。晩秋のたそがれ時、歓喜とも悲哀とも映る黄葉をながめながら、足元からの乾いた音を味わい歩く。そうすると、深まる秋、始まる冬への思いが押し寄せて、言葉少なになってしまう。きっと自分だけではないのでは、なんて同情を求めたくなります。

どことなし、哀れみが胸にしみる落葉の景ですが、晴れた日の輝くような美しさは格別です。それさえ見れれば、あとはどうぞいさぎよく舞い散ってくださいと、思うほど。今日もいちりんあなたにどうぞ。

コナラ 花言葉「勇気」

どんぐり

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主 鈴木咲子
都内生花店に8年在籍ののち渡独。2000年に南ドイツ、アルザス地区の生花店での勤務を経て帰国後、2002年 通販サイトHanaimo開業。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格
https://www.hanaimo.com/