11月
晩秋
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晩秋 萩原朔太郎
汽車は高架を走り行き
思ひは陽ざしの影をさまよふ。
靜かに心を顧みて
滿たさるなきに驚けり。
巷に秋の夕日散り
鋪道に車馬は行き交へども
わが人生は有りや無しや。
煤煙る裏街の
貧しき家の窓にさへ
斑黄葵の花は咲きたり。
十月の秋を受けついで、各地では紅葉の見ごろを迎えています。届く便りに眼をやれば、山の中の落葉樹が、葉から赤へ赤銅色へ、深い葡萄色へと色づかせるのは、さながら童話の中の挿絵のよう、古いゴブラン織りのタペストリーをも眺める思いです。
さて東京も、夏には厄介者でしかなかった、ほんの雑草にしか見えなかった草たちが、日が経つにつれ黄金色に色を詰めています。呆れるほどに枯れようとしなかったのは、これから迎える空虚な景色に、かすかにも輝きを届けるためだったのかもしれない。わが人生は有りや無しや、なんていってね。
そんな空想をしながら、晩秋の眺めを眼に浮かばせながら、今日もこつこつ花屋に勤しむ振り替え日。
よい一日をお過ごしくださいね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
エノコログサ 花言葉「愛嬌」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。
「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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