1月
梅匂う頃
「あなた以外の、誰にこの梅の花を見せましょう。あなただけです、この美しい色も香りもわかるのは」
梅を贈る際に花に添えたとされるこの歌は、花の美しさばかりでなく「あなたはわかる人」と、相手の情趣をも誉めているところが心にくい歌であります。
梅は花や香りばかりでなく、幹や枝も鑑賞する花木です。たくましく屈曲した古木の先には、天に向かって真っすぐに伸びる枝が付き、その造形は桜や桃とも違った梅ならではの品格があります。
とくに白梅は、紅梅や他の色には及ばない気品があり、芳しい香りも相まって昔から多くの詩歌で賞美されるなど親しまれてきました。万葉集では萩に次いで多く登場する花木で、梅にうぐいすのほか、梅の花に見立て雪や、月夜に漂う香りを詠った歌が多く見られます。
さて、もうすぐ節分ですね。鬼は外、福は内、というけれど、あの梅の香りに気づいたら、鬼も福も一緒になって、梅を探しにいってしまうのではないかしら、なんて。今日もいちりんあなたにどうぞ。
梅 花言葉「忠実」