五月一日、スズランの日に寄せて

Posted on 2025/04/29

小さな鈴のかたちをした花が、

そっと春の風に揺れる頃。

スズラン──。

日本では「鈴蘭」と書きます。

白く澄んだ花のかたちを鈴に見立てたことに、

その名は由来するといわれています。

また、葉のかたちが蘭に似ているためとも。

ヨーロッパでは “Lily of the valley”(谷間の百合)、

フランスでは “Muguet”(ミュゲ)と呼ばれています。

谷あいにひっそりと咲く、小さな白い花。

静かな光に抱かれるように、そっと微笑んでいるかのようです。

五月一日は、スズランの日。

ひと枝に、ささやかな願いを託し、大切な人へ手渡す日

ご存じですか。

フランスでは、五月一日に親しい人へスズランを贈る習わしがあり、

それは十六世紀、シャルル九世が、

スズランの花束を贈られたことを、とても喜び、

それ以来、宮廷の女性たちにもこの花を贈ったことが始まりとされています。

それから幾世代もの春がめぐり、

白い花に込める人々の幸せを願う気持ちは、

今も変わらず受け継がれています。

スズランの花言葉は、「再び幸せが訪れる」。

ほかにも、「純粋」や「謙虚」という言葉が添えられています。

大きな葉に身を隠すように咲くその姿には、

声高ではない、けれど揺るぎない強さが、

そっと息づいているようにも見えますね。

この花に出会うと、心にふっと嬉しさがこみ上げ、

同時に、幸福はすぐそばにあるのだということに気づかされます。

そして、そんな小さな幸せを伝え合えるのは、

こんなにもささやかな季節からの贈りものに、

心をときめかせるときなのかもしれません。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

鈴蘭(スズラン)花言葉「再び幸せが訪れる」