みたまのふゆ
「恩頼」と書いて「みたまのふゆ」。とは、ひとめでは読めませんでした。
「恩頼」とは、神や天皇から受ける恩徳やご加護などの「賜もの」のこと。平たくいうと「おかげ」のことです。
「みたま」は、神や天皇などの「魂」のことを、「ふゆ」は「震える」で、冬の語源の「振ゆ」にも同じ。
古代の日本人は、自分たちが日常の中で授かる恩恵というのは、「授けた人」が魂を振るわせた、その作用の結果。と考えたようです。
興味深いのは、授けた人や神様の魂が震えたことによって、この幸福感(めぐみ)はもたらされたのだ(こちらの魂も震えた)。という発想。ゆえに「おかげ」なんですね。
このように、「みたまのふゆ」には、魂の呼応を信じる昔の人の精神性、生命観を垣間見るような、深みと面白みがあります。
また、「めぐみ」は「芽ぐむ」にも通じます。冬の間に眠っていた草木は、春の陽気にふれて目覚めるでしょう。そんな草木のように、自分以外の力によって命を育み、成長を助けられることを、古代の人は「芽ぐまれる」といったんですね。
きっと、自然界からの恩(めぐみ)を授受する喜びにも、「みたまのふゆ」という生命観があったのではないかしら。なんて想像も、ふくらませています。
ということで、はからずも冬の終わりに「ふゆ」にふれる記となりました。明日は節分、過ぎれば立春。さあ春へ。植物も魂ふるわせて芽ぐむ春へ。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
ピンポンマム 花言葉「君を愛す」