夜の秋
昼間は炎暑が続いているものの、夕暮れにもなるとやわらかな風を感じるようになりました。昼間の空はまだ夏だけど、夜の風には秋の気配。
このように、夏のたたずまいを残しつつ秋の兆しがただよう夜のことを「夜の秋」といいます。秋の夜、ではなく、夜の秋、です。
ほんのわずかな日の傾き、ひとすじ抜ける風にも、季節の移ろいを感じとり言葉においた、先人の感性。
ちなみに「今朝の秋」という季語もあり、これは立秋の日の朝のこと。
いずれにも、こんな三、四文字から季節の移ろいがうがかい知れるのだから、あらためて日本語って奥深く、素晴らしいなと思います。
と書いてる一方、夏が苦手な自分にとって、風も吹かぬ夜なんぞ甘んじて受け入れ難く、夕涼みなんて風情もよそに、クーラーの元に居留まっております。
しかし見やれば、窓の向こう東の空には月。これといって名もない、満月まえの月が浮かんでいる。
割れたガラスを通したような、歪ではあるけれど明るい光、かけた月が浮かんでる。
名のある移ろいもあれば、名のつかぬ夜もあるのだなあと、ぼんやり眺める夜の秋。これも今ならではの夜なのでしょうね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ツキミソウ 花言葉「うつろな恋」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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