姓名と植物の関係
よく見れば、私たちの「姓名」には実に多くの植物名が使われています。たとえば苗字(性)には、藤、桐、梅、菊、榎。名には、桜、桃、葵、百合、楓などです。
きっと皆さんのまわりにも、ご家族、お友達、お仲間に、そうした素敵な名前の方は、いるのではないかしら。
このような植物由来の名付けは、欧米諸国なら、著名人や文化人の名からも見てとれます。たとえばマーガレット、ローズマリー、ベンジャミン、アルダーといったように。ほかにもいろいろありそうですね。
さらに時代を遡りますと、アメリカ・インディアンには、現代の私たち以上に多種多様な名前があったそうで、なかでも娘にたいして、植物由来の名前、草木や花の名を使うことは名誉なことだったとの、興味深い文献を見つけました。
また、そうして名付けに使用した花や草木は、その家族の庭や墓に植えられたり、家の紋章として身に着けたとのこと。これは日本における、苗字(性)に使われた植物が家紋に見られるのと、通じるのもがありますね。
このように、植物に象徴的な意味合いを持たせるとともに、本来植物がもつ以上の効能や刺激を求め、人々がその名を姓名に採用したのは、日本に限ったことではなく万国共通だったようです。
とはいえ、いま現代においては古代とは違い、植物を使うことが魔術や秘儀ではないこと、奇跡の薬でもないことは自明で、記すまでもありません。
であるにも関わらず、植物の名をつけることは普遍的、花に秘められた可能性を、信じる心も変わらない。このことは、人間と植物の深い関係をいま一つ証拠づけているものであるなあと、感慨深く思い至ったのであります。
植物に由来してもしなくとも、きっと唯一無二の願いが込められた、自分の名前。大切にしたいものですね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ササユリ 花言葉「上品」
花屋の本棚 今日の一冊
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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