萩の咲く頃
昨日に続いて萩の花。
秋の七草にも数えられているように、昔から萩は秋を代表する花のひとつ。古くは万葉集のなかでも最も多く詠まれた花で、その数は140をこえています。それだけ愛された花といえますが、今現代においては、花の名前こそ聞いたことがあっても、その姿を思い浮かべることのできない花の一つではないでしょうか。
今日は歌をいくつか挙げてみます。
高円の野辺の秋萩な散りそね
君が形見に見つつ偲はむ
(高円の野に咲いている秋萩よ、散らないでおくれ。皇子さまの御形見として偲びたいから。)
我妹子(わぎもこ)に恋ひつつあらずは秋萩の
咲きて散りぬる花にあらましを
(あなたに恋をしないで、あの秋萩のようにただ咲いて散ってしまえばよかった。このまま生きていても、あなたは私の恋にこたえてはくれないのだから。)
雨に吹かれ風に散る姿はこの花ならではの風情ですが、そんな萩を見て、昔の人は自身の想いを映しかえては、思いを伝えあっていたようです。
また俳句においては露や月と詠まれることも多く、すると秋ならではの独特の雰囲気を醸し、これもまた情緒的です。
一家(ひとつや)に遊女も寝たり萩と月 松尾芭蕉
しら露もこぼさぬ萩のうねりかな 松尾芭蕉
白萩のしきりに露をこぼしけり 正岡子規
零れるほどに花をつけ、しなやかにしだれ咲き、冬にもなれば後腐れなく枯れてしまう花姿。そこにはゆかしい女性の生き様を見るような、強かさを感じます。さて、そろそろ今年も咲いたでしょうか。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ハギ 花言葉「前向きな恋」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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