彼岸花咲くころ
旅の日のいつまで暑き彼岸花
臼田亞浪
9月も後半に入りましたが、夜の風にのみ秋を知り、相変わらずの猛暑続き。昨日は彼岸の入りでしたが、こんな暑苦しい彼岸は初めてです。
過去の日記に目を通すと、この頃には「爽やかな秋の冷えがやってきた」「彼岸花が咲きだした」など書いておりました。たった数年の差なのに、あきらかに季節のずれが生じています。それに気づかせたのが彼岸花です。
今年は暑さのせいか、まだ見ていません。でもあの花の奇妙なのは、ある日突然に咲きだすのです。彼岸花は日本全土に咲く花で、ゆえに400を超える地方名があります。このことからも日本人とのかかわりの深さが感じられる花ですが、しかしその名とはほとんどが、死人花、幽霊花などといった忌み嫌わる名ばかり。
名を見るだけでも、ことごとく人間に苦手にされてきた花なのに、花は構わない。彼岸の頃になると黙って現れ、先祖によせる心の陰影を、見据えたかのようにニヤリと咲く。妖かしのように現れて、山にも化ける怪火のごとく、地表を赤く染めあげる。かと思えば、彼岸が過ぎるとたちまち消え失せる。
だから嫌われる。それなのに、妖しい花なのに、天上までも染めんばかりにしべを広げるのは、やはり圧倒的に美しい。そんな詩情を感じさせる一面が、「曼殊沙華」という美称を与えられた所以なのでしょう。
この花が咲いたら、やっと今年も秋ですね。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
ヒガンバナ 花言葉「想うはあなたひとり」
追伸。
そういえば、昨年の今日も彼岸花でした。noteを始め、毎日の投稿を再開し、今日でちょうど1年が経ちました。日々のお付き合いに、心より感謝いたします。今後ともよろしくお願い申し上げます。
https://note.com/sakiko_suzuki/n/n5a648e3a11b6
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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