今さら聞けない「文化の日」と「叙勲勲章」のお話

Posted on 2022/11/04

11月3日は文化の日。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とする国民の祝日です。この日は「晴れの特異日」ともいわれるほど、過去数十年のお天気の結果を見ても晴れる確率が高く、祝日であることも相まって七五三や結婚式を行うことも多い日です。

そしてその名にあるように文化の日は、文化勲章の授与式が行われる日で、毎年皇居において約800名が授与されます。今回は今さら聞けない「文化の日」と「叙勲勲章」のお話です。

この記事を書いた人
Hanaimo店主 鈴木 咲子

  • 叙勲・勲章とは
  • 勲章の種類について
  • 褒章の種類について
  • 表書きについて
  • お祝いを贈るときのポイント

日本の叙勲・褒章は、昭和39年の天皇誕生日に開始された春秋叙勲で毎年2回、春は4月29日付けで、秋は11月3日付けで授与されています。

春秋叙勲での受章者は、毎回4000名ほどが選ばれ、褒章の受章者は、毎回800名ほどが選ばれます。

春秋叙勲の選考の対象は、70歳以上の者、または55歳以上の者で「精神的又は肉体的に著しく労苦の多い環境において業務に精励した者」または「人目につきにくい分野にあって多年にわたり業務に精励した者とされています。

まず勲章から。勲章には5種類あります。ひとつずつ見てみましょう。

 旭日大綬章又は瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のある方への勲章

 国家又は公共に対し功労のある方への勲章

 功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた方への勲章

 公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた方への勲章

 日本文化の発達に関し特に顕著な功績のある方への勲章

褒章には6種類あります。それぞれの違いを知ることで、お祝いを贈る際にも相手の方がどんな功績を残されたかが身近になり、かける言葉にも思いが込められることでしょう。

 「自己の危難を顧みず人命の救助に尽力したる者」に授与される褒章

 「自ら進んで社会に奉仕する活動に従事し徳行顕著なる者」に授与される褒章

 「業務に精励し衆民の模範たるべき者」に授与される褒章

 「学術芸術上の発明改良創作に関し事績著明なる者」に授与される褒章

 「教育衛生慈善防疫の事業、学校病院の建設、森林の栽培、水産の繁殖、農商工業の発達などに関し公衆の利益を興し成績著明なる者又は公同の事務に勤勉し労効顕著なる者」に授与される褒章

 「公益のため私財を寄附し功績顕著なる者」に授与される褒章

「○○授章御祝」(叙勲を受けた人へのお祝いに。「受賞」ではなく、「受章」なので注意)「受賞御祝」「○○受賞御祝」「御叙勲御祝」「寿」(受賞した人全般につかえる)「受賞」と「受章」の書き違い、勲章、褒章の種類を間違えないように気をつけましょう。まず知人の受賞・叙勲を知ったらすぐにお祝いの言葉を贈ることが何より。またその賞の内容を知った上でお祝いすることが、大切なポイントです。

現在、日本には、勲章をはじめとしてたくさんの褒章や各種賞があり、受賞の機会もかなり身近なものになりました。お祝いは、受賞した賞の性質によって、おおやけに祝うか内輪だけで祝うか異なります。

受賞決定後、お祝いの言葉だけ伝えた人が贈り物をする場合は、10日以内に届けるようにします。また受賞決定後何日かたってから知った場合は、手紙、電話などでお祝いの言葉と共に祝いの花を贈ります。 いずれにしても、受賞者は長年の努力が認められて賞を受けたわけですから、周囲の人は大いにお祝いをしてあげましょう。

フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主 鈴木咲子

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ式フラワーデザインに出会い、ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店でドイツ式フラワーデザインを習得。帰国後も、国内外で活躍するデザイナーのアシスタントとして経験を積み、2002年 通販サイトHanaimo開業。かたわらで大手生花店とのアドバイザリー契約、デザインプロジェクトへの参画など、コンサルタント、デザイナーとしても活動。

趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。