やまとうたは ひとのこころをたねとして
西欧文化の中において詩歌とは、その才能をあたえられた人、つまり詩人をはじめとする特別な作家がつくるものとされたといいます。それら紡がれる言葉には神ほどの力がやどり、ゆえに詩人とは、神にもちかい崇高な存在であったという一説です。
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たいして日本は、日本最古の和歌集である『万葉集』を見てもわかるように、歌うたいは天皇から農民まで誰もであり、それは古い時代から自由にして公平でした。和歌は宮廷の中で、旅の途中で、戦にむかう前に、恋文として、また死者を悼むときも詠われ、それらにある背景を知れば、私たちの祖先がいかに自然とつながりをもち、四季の移り変わりを大切にして言葉を紡いできたかがわかります。
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遊び心に恋心、いつの時代にも、自由に想いおもいを言葉にし、歌にしてきた日本人。この想いを歌にするという表現が、もしも「日本の伝統」といえるなら、きょうび私達が自由に言葉で表現し、自由に歌うたいでいることも、日本の伝統を継承してると、いえないかしら、なんて。くちびるには歌を。今日もいちりんあなたにどうぞ。
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やまとうたは ひとのこころをたねとして よろづのことのはとぞなれりける
(日本の歌は、人の心を種として生まれ、それがさまざまな言葉になっているのですよ)『古今和歌集』仮名序 紀貫之
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チューリップ 花言葉「思いやり」