凌霄花(のうぜんかずら)
凌霄は妻恋ふ真昼のシヤンデリア
中村草田男
凌霄花(のうぜんかずら)といえば思い出すのがこの一句。
「凌霄花」の「凌」は「しのぐ」。「霄」は空や雲の意味があり、つるが木に絡みつき、天空を凌ぐほど高く登ることから、この名がついたといいます。
古木や垣根にまとわり、たっぷりとしたオレンジ色の花をたくさん咲かせる様子は、藤やブドウの勢いにも似てみえます。
今日日のけだるさなど意にも介さず、それどころか、こっちのことなど気にもとめず、伸びるに伸びて、咲くだけ咲いて、最後はぼたぼたと地面に散らばって、それが何か、と居直って。したたかな花だなと、眺めます。良くも悪くもですけれど。
こんな話もあります。
もともと地を這う植物だった凌霄花、その妖艶な姿に一目惚れした松の木は、凌霄の花に求婚しました。
凌霄花は松の木の求婚を快く受け入れ、松の木にすがるように蔓をはわせ、美しい花をさかせました。ただし凌霄の花は蔓性です。松の木に限らず、さまざまな植物にも絡みつくものですから、松の木はそんな「彼女」に激しく嫉妬してしまうのでした。
きっと松の木にしても、文句のひとつも言いたくなるものの、憎めないのはこの花色、この愛嬌だったことでしょう。夏を色めくシャンデリア、今日もいちりんあなたにどうぞ。
ノウゼンカズラ 花言葉「華やかな人生」
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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
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